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【アノコロゲームガタリ】俺の屍を越えてゆけ――人間版「ダービースタリオン」が切り拓いた異色のRPG

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目次

1. タイトルの概要――日本神話を背景にした異色のRPG

1999年、PlayStationで発売された「俺の屍を越えてゆけ」(以下、俺屍)は、それまでのRPGに類を見ない「血筋を繋ぐ」というプレイ体験を提供し、ゲームファンの心を鷲掴みにしました。短命の呪いを受けた一族が、神々と交わりながら子孫を残し、数世代に渡って復讐の道を歩むというストーリーは、残酷でありながらも奇妙に美しく、日本神話をテーマにした斬新な設定が物語をより深く、魅力的なものにしています。

この作品の最大の魅力は、「一族の絆」と「血筋を強くしていく」というゲーム性にあります。プレイヤーは短命であるキャラクターたちを育成し、命が尽きる前により強い子供を残すことを目指します。人間版「ダービースタリオン」とも言えるこのシステムは、単なる個人の成長に終わらず、世代を超えた一族の進化を見守るという全く新しいゲーム体験を提供しました。

2. ゲームプレイの特徴と操作性――血筋を強化する育成の楽しさ

「俺屍」のゲームプレイは、一族のメンバーがダンジョンを探索し、戦いながら少しずつ成長していくというシンプルなものですが、特異なのは「命の儚さ」と「血筋強化」の要素です。プレイヤーは限られた寿命の中で、神々と交わりより強い血統を残すことで、戦力を増強し、最終的な目標である敵討ちへと進むのです。

育成の要素は、戦略性を求められる一方で「ダービースタリオン」に通じる中毒性があり、「次はどんな能力を持った子供が生まれるか?」という期待感が尽きません。このシステムにより、単なる戦闘やレベル上げだけでなく、一族の未来を左右する「選択」が大きな意味を持ち、育成と血筋強化の面白さがプレイヤーを魅了しました。

3. 日本神話を背景に持つ「クセのある」物語の魅力

「俺屍」の独特な雰囲気を生み出しているもう一つの要素が、日本神話に基づいた世界観です。物語は、神々が登場し、彼らと交わりを持つことで次世代の命を紡ぐという、ユニークな設定が根底にあります。通常のRPGでは異世界やファンタジーの設定が多い中、日本神話をテーマにした俺屍は、文化的な背景も手伝って他のRPGにはない神秘的でクセのある魅力を備えています。

この神話的な設定と、血統を継いでいくシステムが合わさることで、ゲームは神々との関係や家系の進展に深みを増し、物語に独特の「重さ」と「崇高さ」を加えています。さらに、この設定は後に「高機動幻想ガンパレード・マーチ」や「ペルソナ」シリーズなど、神話をテーマにした作品群に影響を与え、国内外のゲーム文化に一石を投じたとも言えるでしょう。

4. グロテスクでありながら生まれる奇妙なさわやかさ――絆と希望の物語

「俺屍」の物語には、短命という呪いによる悲劇と、血筋を絶やさずに繋いでいく使命が織り込まれており、プレイヤーは強い絆と共に一族を守り続ける運命に挑むこととなります。この呪いによる絶望の中でも、家族が団結し、強い血統を残そうと奮闘する様子はグロテスクでありながらも爽やかで、ゲームを進めるごとに「命の儚さ」や「家族の絆」を深く感じさせられます。

特に、プレイヤーは一族の成長を見守り、幾多の別れと出会いを経験することで、ゲーム内で築かれる「家族愛」に強く感動します。これは他のRPGにはない独自の体験であり、残酷な運命に抗いながらも一族を存続させるというプロセスが「奇妙な爽やかさ」として心に残ります。このようなグロテスクなテーマと絆の融合こそが、俺屍の真の魅力であり、プレイヤーにとっても忘れられない体験をもたらします。

5. 桝田省治氏の独特な感性が生み出した傑作

「俺屍」を語る上で欠かせないのが、ゲームデザイナー桝田省治氏の独自の感性です。桝田氏は、ゲームに社会的・文化的テーマを組み込み、シリアスかつリアルな物語を作り出すことで知られています。俺屍もまた、その独自の視点から描かれた作品であり、プレイヤーに「命の儚さ」や「家族の絆」といったテーマを考えさせるよう設計されています。

また、桝田氏は、俺屍で見せたテーマを後の作品にも活かし、「高機動幻想ガンパレード・マーチ」などにも影響を与えました。ガンパレード・マーチでは、架空の戦場を舞台にキャラクター同士の絆や人間ドラマが展開されており、俺屍で築かれた「人間関係の深さ」をテーマにしたゲーム作りがさらに発展しています。

6. 後の高機動幻想ガンパレード・マーチへの影響

「俺屍」で用いられた血筋や絆のテーマ、限られた命を精一杯生きるという要素は、桝田氏の次作「高機動幻想ガンパレード・マーチ」へと引き継がれました。ガンパレード・マーチは、日本ゲーム史においてもエポックメイキングな存在であり、特にキャラクター同士の関係性が戦況に影響するという「人間関係シミュレーション」として話題になりました。

ガンパレード・マーチでは、プレイヤーが指揮をとる部隊内での人間関係や個々のドラマが、戦場での行動や生死に直接関わるシステムが採用されており、これは俺屍の血筋システムが発展した形とも言えるでしょう。「限られた命の中で何を成すか」というテーマは、桝田氏が一貫して描き続けたテーマであり、俺屍からガンパレード・マーチへの流れを汲むことで、一層その深みを理解することができます。

7. 普遍的な価値――時代を超えた「命」と「絆」のテーマ

「俺の屍を越えてゆけ」は、発売から20年以上が経過した今でも、多くのファンに愛され続けています。その理由は、「命の儚さ」や「家族の絆」といったテーマが、時代を超えて普遍的な価値を持っているからです。ゲームの中で繰り返される命の営みや一族の成長は、私たちの人生に通じるものがあり、どんな時代でも共感を呼ぶものがあります。

現代のプレイヤーにとっても、俺屍の一族の旅は新鮮であり、これからも語り継がれていくでしょう。


次回予告


次回は、青春と戦場が交差する異色の傑作『高機動幻想ガンパレード・マーチ』を深掘りし、混沌とした戦時下に生きる若者たちの心情に迫ります。兵士として戦う中で葛藤や絆を深めていく彼らが、いかにして“生”と“使命”の狭間で揺れ動くのか。多彩なキャラクター同士の関係や、選択が生む運命の分岐が紡ぐ重厚なストーリーの奥深さを紐解きます。

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