
静寂に包まれた研究所に、警報として鳴り響いていた。
「警告。警告。不審者の侵入を確認。職員全員は緊急避難を…」
「なにが起きているんだ?」 レイは置いて研究室の端末を確認する。セキュリティカメラの映像が切り替わり、黒い軍服に身を包んだ集団が研究所内を進んでいる様子が映しだされた。
「セレネ・コンフェデレーション極限派…なぜ、こんな研究所に」
地下まで逃げてきたレイは、息を殺して状況を確認していた。そのとき、横から微かな気配を感じ、振り向く。
「!」
月光に照らされた少女が佇んでいた。 銀色の髪が月明かりに輝き、透き通るような碧眼で静かにレイを見つめている。雰囲気を醸し出していた。
「誰…だ?」
「私はルナ。ガンダム・ルナフロストのインターフェースユニットよ」 少女は淡々と語る。その声には不思議な響きがあった。
「インターフェイス…? どういうこと・・・」
「そう。でも今はそんな話をしている場合じゃないわ。やつらが近づいてきているから」
廊下から重装備の民間兵たちの靴音が足早に近づいてくる。レイは咄嗟にルナの手を取って、奥の実験室へと走り始める。
「ちがうわ・・・こっちよ」
「そっちには出口はない」
しかし、ルナはレイの手を振り払って、逆の方向に走る。仕方なく、レイはそれを追う。
「なんだここ、来たことがない」
そこは、ドームの中で見たこともない広い場所だった。照明がついていないため、よく分からない。
「照明をつけて」
ルナの声に呼応するように、施設の照明が一斉についた。
そこには、驚くべきことに、銀白の装甲に身を包んだ巨人が横たわっていた。
「なんだ・・・これは・・・まるでヒューマノイドを何倍にもしたような・・・」
「レイ・アーミテージ。私と一緒に戦ってくれる?」 ルナが問いかける。その瞳には、どこか切実な色が宿っていた。
「戦う…?でも僕には…」
「大丈夫。あなたなら出来る。あなたの中に流れる血が、それを証明している」
扉が叩かれる音。時間は残っていなかった。
「…分かった。父と母が遺してくれたものを、守らなければ」
ルナは微かに微笑んだ。
「ムーンライト・システム、起動」

ルナの姿が光粒子となり、消えゆくレイの意識がコクピットと繋がっていく。 そこにはそこまでの少女の姿はなく、半透明のホロとなった姿が浮かんでいた。
「バイオセンサー、反応良好。脳波同期率、予想以上」 ルナの声がコクピット内に聞こえる。
「すごい・・・動いた」
その瞬間、まるで自分の手足を動かすかのような感覚が全身を包み込んだ。
「敵接近。距離200」 ルナが警告を発する。
「レイ、準備はいい?」
銀色の巨人が、月夜に輝きながら起動する。研究所の天井が開き、漆黒の宇宙が広がる。
その時、敵の部隊が姿を現した。ドームの高さを超えるくらいの、同じく巨大なロボットが向こうからやってくる。
「これは・・・いったいなんなんだ」
「これはモビルスーツ。あなたの両親のヒューマノイド研究の成果」
「え。どういうこと」
「レイ、始まるわ」
究極派の部隊が展開する中、ルナフロストは月明かりに輝きながら、静かに立ち上がった。この夜、レイ・アーミテージの運命が、大きく動き出そうとしていた。
