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JAXAの「きらめき3号」打ち上げ配信では、打ち上げ前からその迫力あるシーンが盛り込まれており、視聴者に強い印象を残しました。配信は、ロケットの運搬や組み立ての様子をダイジェスト映像で紹介し、重厚でかっこいい音楽がバックに流れることで、視聴者の期待感を一気に高めました。そして打ち上げが迫ると、カウントダウンが9分前から始まります。このカウントダウンの間、打ち上げに向けた準備が自動的に行われる「カウントダウンシークエンス」に入り、一つ一つのステップが淡々と進む様子が、まさに緊張感を持たせる演出として視聴者の心を掴みました。
そしていよいよ打ち上げの瞬間。カウントゼロとともに、轟音と噴煙が巻き上がりながら、ロケットが垂直に勢いよく上昇していくシーンは圧巻でした。その姿はまさに「かっこよさ」の象徴であり、視聴者は一瞬にして宇宙開発の壮大さとロマンを感じ取ったことでしょう。
1. リアルタイムでの軌道CGによる可視化
JAXAの打ち上げ配信で視聴者を特に魅了したのは、ロケットや衛星の軌道をリアルタイムでCGで描写する工夫でした。ロケットの高度や軌道上の位置をCGでわかりやすく表示することで、視聴者はロケットが宇宙に向かう瞬間を追体験しやすくなりました。この可視化によって、ロケットが段階的にフェーズを進む様子や、高度の変化が視覚的に理解でき、宇宙開発が身近なものとして感じられたはずです。
2. H3FIPシステムとは?
その可視化を可能としたのが「H3FIP (Flexible Integrated Platform)」です。H3ロケットの打ち上げ中にロケットの飛行状況を高品質に情報提供するためのシステムです。
これは、JAXAの種子島宇宙センターに設置され、ロケットが伝送するテレメトリーを受信し、リアルタイムに可視化する役割を果たしています。
なんというか、すごい! あと、デザインかっこいい!!(語彙力)
※Takram社というデザイン・イノベーション・ファームによるもの。そりゃそうだ。
また、ロケットの驚異的な速度も注目すべきポイントです。打ち上げ後から衛星分離までの間、ロケットは秒速8キロメートルという途方もないスピードで宇宙空間を進んでおり、これは東京から大阪までの距離をわずか55秒で移動する速度に相当します。このスピードは日常ではまず体感できないものであり、視聴者にとって驚きと興奮を与える要素の一つとなりました。実際、配信を通じて視聴者は地上から宇宙へと向かうロケットの壮大なスケールをリアルに感じることができたでしょう。
3. 親しみやすい「ナイス設備」エピソード
配信の中では、「ナイス設備」と呼びかける場面もあり、整備や準備の最中に行われたこの弦担ぎのエピソードが視聴者の心を打ちました。通常、宇宙開発というと厳格で緊張感に満ちたイメージが強いですが、このような人間味あふれる場面を紹介することで、打ち上げを支える技術者たちの熱意や結束感が伝わってきます。親しみやすい「ナイス設備」という掛け声は、観ている人々にとっても共感できるものであり、技術者たちの奮闘に感情移入しやすくなりました。
このようなエピソードがあることで、宇宙開発に関心を持つ視聴者が増えるだけでなく、JAXAの活動に対して親しみやすさを感じてもらう効果もあります。視聴者の応援がチームの士気向上にもつながるため、このような人間味あるエピソードを取り入れることは、JAXAの配信において大きな意義があったといえるでしょう。
4. 若い解説者が視聴者に与える親しみ
さらに、配信ではJAXA入構2年目の若手職員が解説を担当していました。宇宙開発は高度な専門知識を要する分野ですが、こうした若手職員が視聴者に向けて丁寧に解説する姿は、若い世代にも宇宙開発を身近に感じさせ、親しみやすさを演出していました。このように若い解説者が登場することで、視聴者は自分と近い年齢層の人が第一線で活躍している様子を実感し、「自分も宇宙開発に関わりたい」という気持ちが芽生えるきっかけにもなります。